my existence sense-神が人を愛す時-

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「おーおー、何だか今日はやたらと人が多いじゃねぇか!一体何事だ?」



清々しく晴れた昼下がり。


.......。
ついさっき起きましたといったような盛大な寝癖を掻き上げながら欠伸混じりに廊下を歩いていたジーザス。
寝癖ばっちりの髪に皺だらけでだらっと着崩れる軍服のその姿は彼がこの国の将軍の一人であることを忘れさせる。

眠気眼を擦り大きな欠伸を溢そうとした彼はふと城の中の雰囲気がいつもと少し違うことに気が付き出かけた欠伸を飲み込む。







「まったく、貴方って人は。
あれほど言っておいたのに忘れたんですか!」


「あ?
何だバロンじゃねぇか」



どこからどう見ても権威ある将軍とは思えないようなその様に、やれやれと呆れ返った声が背後より掛かる。






「何だじゃありませんよ!
ジーザスさん、貴方もっと生活を改めた方がいいですよ?
もうすっかり陽が昇っているのにそのみっともない様はなんですか。おまけに酒臭い......昨日の夜また酒を飲ましたね?」



「あー、煩い煩い。
止めろ、頭がガンガンする」



「完全に二日酔いじゃないですか」



「いいじゃねぇか、酒くらい。
朝から細かいことガタガタ言うんじゃねぇよ」



「もう昼ですけど。
......と、そうでした!貴方の二日酔いがどうとかはどうでもいいんですよ。
貴方今日が試験であることまさか本当に忘れていた訳ではありませんよね!?」



「あ?試験......あー、はいはい、あれね!
キルファの奴が全国から集めてどうこうってやつ。
覚えてるよ覚えてる。
さぁて、じゃあ早速このジーザス様が志願者どもを見極めに行っちゃいましょうかねぇ!
よし行くぞぉ、バロ――――」



「貴方は究極の馬鹿ですか」



「なっ」



「試験は早朝からです。
貴方が幾ら待っても来ないものだから貴方の持ち場は他の者に任せておきました.......もう直に結果が出た頃でしょう。

それでキルファさんが話したいことがあると仰っていましたので、貴方を叩き起こしに行こうとしていた所なんです」





.......。
全く対照的な二人の男。

そんな男達の会話が廊下へと響く。
だがこんなところでいつまでも話をしている暇は無いし、こんな男同士の会話を楽しむ趣味も生憎持ち合わせていない。

そのためバロンはぐだぐだな上司をばっさり切り適当にあしらって話を進める。








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