my existence sense-神が人を愛す時-










彼を知るこの国の者であれば誰もが言うであろう。

あの男は適当である、と。
誰もが口を揃えて答えるであろう。






......。
だが不思議なことに彼はこの国の将軍。
その上に周りからもその地位を認められ、何より王キルファからの信頼が厚い。


どうしてこの男が?
バロンも初めはそう思っていたが、彼と関わるうちに幾らかジーザスという男の本質が見えてきて納得した。

勿論彼が適当であることは不動の事実であるのだが、それだけではないということに気が付いた。
一つは彼の戦闘の能力。
軍事大国の将軍である以上剣の腕があるのは当たり前たが、彼の持つ才はそれだけではなくて戦略を立てるなどと言った頭脳的な面でもかなり長けていた。
ヘラヘラしているばかりに見えて実は周囲を冷静に見極めている。
そんな彼の一面は普段は隠れて見えないが地位に値するものであるとバロンは思っていた。




そしてもう一つ。
あのジーザスという男が将軍である理由。

それは、決して表には出さない彼の絶対的な忠誠心。
この国に対して―――そして何より王キルファに対しての忠誠心の厚さである。


一見はそんなものがあるようには見えない。
キルファとは昔からの仲らしくジーザスは王に対して殆んど敬語を使わない。
発言には微塵の敬意もなく王と臣下の関係すら疑わせる。

だがジーザスはキルファより任された任務に対して絶対的に忠実だった。
口では面倒だの言いつつも一切手は抜かずにこなす。

.......。
それがどんな任務であれど、キルファの命令とあれば容赦は無い。
例えもしもそれが人の道に反するような残酷なものであったとしても。
きっと、いや絶対に彼は従うだろう。






「あの二人の間には、一体何があるのでしょうか......」





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