「あ?何だよ、バロン?
お前も聞いてたろ?
この世界を平和にするためにその乱してる根元をぶっ潰さなきゃならねぇっと事だろ?
別に何も間違っちゃいねぇじゃねぇか」
「なっ.......何を言ってるんですか、貴方まで!
神殺しですよ?!
神を殺すんですよ?!判ってるんですか!?」
「おー、何だ何だビビってんのか?
神だろうが何だろうが、それが世界を悪くしてるなら排除すべきだろ?
まぁそもそも俺は神なんてもんはそう信じちゃいねぇからどうでもいいがなぁ、ハハッ!
いいじゃねぇか、この際神なんてよく判んねぇもん排除して世界丸ごと統一しちまおうぜ?
そうなりゃ種族だの何だのも関係無くなって戦争もしなくなるかもしれないぜ?」
キルファの意見を聞いた。
その上でジーザスは否定から肯定に立場を翻し固めた。
それと同時に彼らしくない真面目な表情は消えていつも通りのヘラヘラとした表情に戻る。
.........もう彼の意志は変わらないようである。
「.............。
神を、神を殺す.......排除する、ですか」
形勢逆転。
キルファの側に付いたジーザスにバロンは暫し黙り込む。
別にバロンも特に神を敬愛しているという訳でも無く毎晩祈りを捧げているような男ではない。
其処ら中の人と同じ。
特に神に依存することもなく神を意識することも無くただ生きていた。
..........。
神殺しなどという突飛な考えに思わず取り乱してしまったものの、冷静に考えれば別に神を擁護する理由も無い。
ましてやバロンにとってキルファはその身を仕える国の主であり従うべき存在。
忠誠心もあるし恩もある。
そう考えてしまうと神という存在が自分にとってそれほど大それたものでは無いと気が付いてしまった。
各地で様々な神話が浸透するこの世界。
信仰心では無いが"神は冒しては為らぬ聖なる存在"という刷り込みがあった。
だがよくよく考えてみれば自分達が直接神に何かしてもらったという訳でもないし、神に祈ったことで何か願いが叶ったということも滅多に無い。何かあったとしてもそれは偶然である。
.

