私はあのとき、ワクワクとドキドキしていて浮かれていたな。 波留と帰るのが嬉しくて、いつもよりまして笑ってたっけ。 私が、笑うと、 波留も、笑って、 二人で微笑みあってた。 だけど、波留と私はもう笑いあえない。 分かってる、分かってるけど、 やっぱり…。 「あ…、桜…?」 そう。 私が上を見上げると、一輪だけ、 小さく、咲いていた。