―――――――… 波留と最後の気持ちを伝えて、 私と波留は、別れた。 お互いに背を向き、 それぞれの帰り道を歩いていく。 今なら…、今ならまだ間に合う。 後ろを振り向けばまだ間に合うかもしれない。 そんな私の弱さが語りかけて、 また一歩、また一歩と、 歩き出す道を奪い去っていく。 そのとき、また風が吹いた。 あ…、知ってる。 私はこのにおいを知っている。