私は戸田くんを止めるべく、口を開いた。




「っ戸田く「え………と、戸田さん、ですか?」





……戸田さん?



「?! ……お前まさか…東城(とうじょう)か…?」


「とととということは、こちらは実里さんですか?! しっ、失礼しましたぁっっ」




金髪ヤンキーさんは猛スピードで人混みの中に消えていった。





……な、なに…………?



「実里、大丈夫?」



戸田くんは私がぶつかったところをさすってくれた。



怖かったけど、顔が緩む。


「はいっ、ありがとうございます!」




そう言って、また歩き出した。



「あの、戸田くん。さっきの金髪ヤンキーさんは、知ってる人ですか?」



戸田くんの名前知ってたし、なぜか私の名前も知ってたし……





「…あぁ、あいつは実里がさらわれた時のやつ」


「えっ?!」



高校の時の、あの恐ろしいヤンキースの………?!





「さっきの逃げ方、笑えるな」



戸田くんは金髪ヤンキーさんには特に気にせず、そのまま駅に入った。