あの日も、そうだった。 「幸せだねえ」 なんて、ホットミルクが注がれたカップを片手に午後のまどろみの中でカノジョが呟く。 「この世からホットミルクがなくなったら、あたしは消えてなくなっちゃうと思うんだ」 「心配いらないさ。僕が毎日、君のためにホットミルクを作るよ」 「ほんとうに?」 「本当さ」 こんな毎日が、幸せだった。 簡単には揺るがない、そう信じていた。