………

……




で、小一時間後。




「四聖獣ってのは東西南北を守ってるって言っただろ?
実はな、その中心的存在が居るわけだ」

「へー」

「って、お前全然興味なさそうだなぁ……」

「だって、全然わかんねーんだもん」




難しい言葉ばっかりで、頭の中にさっぱり入ってこない。

右耳から聞いたことがそのまま左耳から出ていってる感じ。




「ちょ、俺があんなにわかりやすく話したのに、お前は理解出来てなかったのか?
はー……つまらん男だなー……」




そう言いながら、信吾は本を閉じる。




「あれ、中心的存在の話は?」

「だって、話したってどうせ『へー』って反応しかしないだろ?
だからもう言わねー」




本棚に本を戻した信吾は、グッと背伸びしてから俺を見た。




「なんか食いに行くかー。 つーか、龍輝んとこに食いに行く?」

「お前、酒飲むつもりだろ?」

「もち。 あとコレな」




そう言って、タバコを吸う動作。

龍輝は一人暮らしをしているから、龍輝の住んでる部屋はタバコを吸ったり酒を飲むにはうってつけの場所だ。


そこへ向かうため、俺たちは部屋を出る。




……。




結局、『四聖獣の中心的存在』ってのはわからないままだけど……信吾は何も言わないし、俺も別に興味ない。

だから『四聖獣』の話はその場で終わり、その後も話題に出ることはなかった。