ナツは本当に『マジ』な顔をした。

そして伏し目がちに私に目を移しながら、



「晴香もさぁ、少しは外に目を向けて、まわりを見てみろよ」

「え?」

「知らない? お前、密かに人気あんだよ」

「は?」

「だから、晴香はその気になってカレシ作ろうと思えばできるってことだよ。友情どうこうもいいけど、その所為で恋愛とか否定してどうすんの。もったいないっしょ」


ナツの目が怖い。

距離が近い。


私は思わず身を引いた。



「私、ナツが何言ってるかわかんないんだけど」

「またそうやって逃げる」

「逃げてるわけじゃなくて」

「じゃあ、何? お前が固執してる友情ってもんは、はっきり言うけど、すげぇ脆いもんだぞ。それをお前だけが壊れないように必死に守る意味ってあるか?」


4人でいて、楽しいと、私は思っていたのに。

なのに、ナツはそうじゃなかったってこと?



「って、何で泣くかな」


泣いてるつもりはなかったのに。

なのに、なぜだか涙が溢れて止まらなかった。



「何でそんなにひどいこと言うのよ」

「ひどくねぇだろ。俺はただ、普通の話をしてるだけで」

「ひどい」

「あぁ、もう、わかったよ。はいはい、俺が悪い、俺が悪い」


めんどくさそうに言って、ナツはくしゃくしゃっと私の髪を乱し、



「けどまぁ、愚痴ならいくらでも聞いてやるから、泣くのは俺の前でだけにしとけ」