《短編》春夏秋冬



晃と美冬が文化祭実行委員になったのは、それからすぐのことだった。

そのおかげなのか何なのか、ふたりは違うクラスにも友達ができたみたいで、何だか楽しそうだった。


他のクラスの子たちは晃と美冬が付き合ってると思っていたらしい。


何だかなぁ、と、私は思う。

またおいてけぼりになったみたいで。



ナツは相変わらずの自由人って感じだけど、私の知らないところで女子に告白されたとか聞いたし、それなりに楽しそうにしていた。



何もないのは私だけ。

別に交友関係を広めたいだとか、カレシを作りたいだとかじゃない。


私はただ、いつも4人でいられればそれでいいのに。




そんな風に思う私は間違っているのだろうか。




「晴香が体育サボるなんて珍しいな」


非常階段に逃げ込んでみれば、ナツがいた。

私はあからさまにげんなりする。


ため息混じりにナツの隣に腰を下ろし、



「たまには私だってひとりで考え事したい時もあるの」

「どした? 生理か?」

「怒るよ」

「冗談だろ。マジになるなよ」


6月の、どんよりとした空を見上げる。



「何か悩みでもあんの?」

「そっちこそ」

「俺?」

「前に美冬が言ってたけどさぁ。ナツは人に知られたくない何かを抱えてるんじゃないか、みたいな」

「ふうん」

「『ふうん』って」

「俺ってそんな風に見えるのかなぁ、って思っただけ」