恋は苦しくて、切なくて、もう嫌だよ。
はやく、田中を忘れよう。
もう、何を見ればいいか分からない。
何を信じればいいか分からない。
恋なんてしなければこんな想いせずにすんだのにね。


土曜日、あたしはいつもどおりゆっくりと昼近くまで寝る。
一週間の疲れをここで取り戻すんだ。
特に、この一週間は眠れない毎日が続いた。
田中の言葉を聞いてから。


~♪~♪


夢を見た。
いつもと同じ教室だけど、一つ違うのは田中が来てない事。
あたしは田中の声がするのを待つ。
けど、なかなか声はしない。
あれ?田中は?

キーンコーンカーンコーン

チャイムの音がした。
あぁ…田中ってば遅刻!?ほんとだらしないんだからなんて思いながら席に着く。
そして、隣の溝口君に話しかける。

『今日、田中遅いねー。』

「え?田中って?」

そんな答えに戸惑うあたし。

『え、溝口君仲いいじゃん!田中と!田中だよ?田中雄一!』

「…小柳、寝ぼけてる?」

溝口君の台詞に言葉を失ったあたしが次に見たものは、道だった。
地下通路みたいな、一本のまっすぐな道。
銀色で、四角て、前から光がさしてくる。
光と反対の方から声がした。

「小柳…。」

後ろを振り返っても、見えるのは暗い闇。
けど、この声は確かに…田中。
どうすればいい――――