「何?お前も不機嫌なわけ?」


授業中、溝口君が聞いてきた。
理由ぐらい分かってる。
最近、明美と田中が異常に仲がいいのが気に喰わないんだ。


『溝口君も不機嫌なの?』

「ったりめーじゃん。」

『あ、明美の事――――』

と、まで言うと溝口君は赤面した。
そっか。彼もあたしと同じ気持ちなんだ。
何気なく、田中の席へ目を向ける。
もう…また明美と話してるよ。
大体、明美は溝口君が好きなんじゃないの!?


そんな思いのまま休み時間、明美と溝口君と田中と一緒に過ごす。
最近、仲のいいこのいい4人。
けど、なにかちがう。
なんか…、一つにまとまらない。
見せるのは嘘の笑顔だけ。
本当の気持ちなんていえない。
だって、明美と一緒にいたいから。
だって、田中の本当のきもちを知るのが怖いから。
ただの弱虫のなんだ、あたし。




「なぁ、お前って坂口の事好きなの?」