「えっと、どこまで話したんだっけ?」


 「まだ本題には全く触れていないかと」


 「そうだったそうだった」


気を利かせたタクミの返答に頷くカナメはその顔から笑みを消す。




 「簡潔に、話の趣旨から話すと、その時が来たと言う訳だ。災厄の魔女、柴架を倒すその時が」


その言葉にピクリと眉を動かすシンリ。

グラスの中の氷が溶け、カタリと小さく音を立てた。




 「5日後、君達の前に柴架は必ず現れる。それが君達に与えられる一度きりのチャンス。失敗すれば彼女を野放しにするだけでなく、君達の命はそこでthe end.何もかもお終いと言う訳だ」


スッと喉元に親指を滑らせ鋭く目を細めるカナメ。


並べられる言葉に驚くハルはゴクリと息を呑む。




 「彼女と同等に戦う事が可能なのは君達のみ。彼女の招いた災厄から生き延びた、否、彼女に生かされた君達だけが成せるんだ。彼女を、柴架を殺す事が」


フッと吹き込む乾いた風。

どこか悲しそうな表情をちらつかせる彼の髪を静かにサラリと揺らす。