「うぅ…面倒くせぇ……」


寮の一室、ベッドの中唸るのは1人の少年。

緋色の髪を乱暴にかく彼はこの学園の生徒。

名を御國 遙翔(ミクニハルト)と言う。




 「…まったく……何でこんなイベントなんかがあるんだよ…俺は只、平凡な日々を過ごしていたいだけなのに……」


適当に服を選んだ彼はブツブツと愚痴をこぼしながら着替えを済ませる。




 「まぁそりゃあ、全寮制で食事付き。部屋も有るし何ら不自由の無い生活を送れるって言うのは、身よりのない俺にとっては有り難い事だがな」


カーテンを閉めた彼は溜め息を吐くと部屋を出る。


憂鬱そうな顔をして、不機嫌そうに眉をひそめ。


廊下を歩く多くの学生達の流れに乗って姿を消した。