noir papillon



眉間に深い皺を刻むハルの視界に飛び込む一羽の黒き蝶。


その黒蝶を見つめるハルは足を止める。




 「置いてかないでくれよ姉さん」


 「フンッ、私を待たせるなどお前何様だ?」


 「へ、何様?え~と……俺様だけど?」


ふとすれ違う2人の男女。


何処か聞き覚えのある2人の声。

そして懐かしさを感じるその雰囲気。




 「…カナ…メ……」


知らぬ間に口から零れた何者かの名前。
何故か速まる鼓動。



不思議と涙が込み上げる中、舞う黒蝶に誘われるようにしてハルは振り返る。







               -End-