カナメの胸を貫き風穴を空ける一本の槍。 その切っ先からポタポタと雫となり零れる鮮血。 「…カナ…メ……貴様……貴様──!!」 鬼の形相でカナメを睨み叫ぶ柴架だが、その言葉は終わりまで紡がれる事はない。 パチリとカナメが指を鳴らすと共に柴架の身体は黒い何かに包まれる。 姿が見えなくなったかと思えば、その黒い塊は数えきれない程の黒蝶となり羽ばたいてゆき、それと同時に柴架の姿も、魔力も存在自体すらもこの場から、この世界から消え去った。