noir papillon



目にも止まらぬ速さ。
それは一瞬の出来事だった。



雨の如く降り注いだ槍は柴架の身体の至る所に突き刺さる。




 「ぐっ…かはっ……」


吐血する柴架は治癒の魔法をもって回復を試みるが、槍が魔力を吸い取るように、膨大な魔力は傷口から逃げてゆく。


消え去った魔力によりこの傷を治す事は不可能。



壊れゆく細胞。
止めどなく流れる鮮血。
身体から抜け消えた魔力。



危機に直面する柴架は憎らしげに唇を噛みハルを睨む。