noir papillon



消えてゆくハルの姿に目を細める柴架の身に襲い来る弾丸。


しかしそれも幻影であり彼女の身体をすり抜ける。


不服そうな彼女の瞳に次に映るのは、斬りかかってくるミヤビの姿。




 「これも幻……同じ事を繰り返し何が──っ!?」


また幻影だと判断し、回避しようともしない柴架。


そんな彼女の身体に鋭い痛みが走る。




 「くっ……」


ふと手を伸ばせば、掌は真っ赤に染まっていた。

生暖かい血液が身体を伝うのがわかる。




先程のミヤビは幻影で無く本物。


実物である彼女の攻撃を柴架は真っ正面から受けたのだ。




 「フッ…ハハッ……面白い…面白いじゃないか!」


傷の治癒を終え突然不気味に笑い出す柴架。

自らの血をペロリと舐めた。