「なっ!?」
高らかな笑い声をあげる筈だった柴架だが、その口から出たのは思いもしない驚きの声。
ミヤビ達を斬り裂く寸前、何らかの妨害により強風はかき消された。
そのような結果が訪れる事など考えもしていなかった柴架は顔を歪めハルを睨む。
「同等の魔法をぶつけ互いに打ち消し合ったと言う訳か。私の真似をするなどなかなかやる。だがお前は所詮クズ。一番にくたばる可哀想な存在なんだよ!」
腕を振るうと数本の短剣がハル目掛け飛んでゆく。
猛スピードでハルの身に襲いかかる短剣。
彼の身体を貫くのを確認するが、感じた違和感にピクリと眉を動かす。
「…幻……?」
柴架の攻撃したのは幻覚。
彼女の瞳に映るのはハル本人ではない。

