瞬間的に無風状態になったかと思いきや、低い音を伴い強風が吹き荒れる。
乗用車すら軽く飛ばす強風は刃を持ち、四方の敵を無作為に斬りつけた。
その風は鉄の塊を一刀両断。
刃の威力を物語る。
「幾ら遠くへ距離をとり身を隠そうと、どんな強固な防御壁を造り出そうが、この風からは逃れられないぞ?」
「くっ……」
目に見えない鋭い刃から逃れる為遠くへ駆けるミヤビだが、身を隠した建物さえも砕かれてしまう。
防御壁にて身を守るタクミ達だが、その強固な壁にすらひびが入り、一瞬にして崩れ去る。
盾を失ってしまったミヤビ達。
このままではその刃に身体が斬り刻まれる。
全員が絶望的なこの状況に息を呑む中、柴架だけが嫌味に笑い楽しんでいた。

