noir papillon



 「残念だけど、君の問いに答える暇は無いようだ。彼女がもう待ってはいられないようだから」


カナメの言葉に眉を潜めると、囲んでいた壁がグニャリと歪むのが分かった。

この壁を壊す為、外から柴架が攻撃しているのであろう。




 「君の疑問には全てが終わったら答えてあげるよ。否、彼女を倒せばおのずと見えてくる筈だ、君の求める答えが」


ふと目を反らした一瞬の隙に姿を消したカナメ。


どこからともなく聞こえる彼の声にハルは四方へと目を向ける。




 「あ、そうそう、これは俺からのちょっとしたプレゼント。完璧にとまではいかないが、戦える位の魔力と身体は回復させておいてあげたから、せいぜい頑張ってくれよ、ハル」


 「おいちょっと待て!」


一方的に言葉を並べるカナメを制止しようと試みるが、完全に消えてしまった彼の魔力。


何も明かす事無く彼はハルの前から姿を消した。