noir papillon



ミヤビを救う為、咄嗟に魔法を発動させたハル。

腕を切り落とす事はなかったが、感情的になりすぎてしまったようだ。




 「なんだハル、生きてたんだ。良かった良かった」


瞬時に治癒を終え微笑みながら言うカナメ。

まるで何事も無かったようなその態度にハルは苛立ちを覚える。




 「話を反らすなよ……何なんだって訊いてんだろ!?」


 「っと……危ない」


カナメの足下から突き出る氷の刃。

それを数歩後退しただけで回避する。




 「やっと本気を出す気になったかハル。能ある鷹は爪を隠すとは言うけど、ちょっと焦らしすぎだよ。一時期本当のクズかと思ったくらいだ」


氷の柱を指で弾き粉砕するカナメ。

小さな結晶がハラハラと舞う中で何時ものように悪戯に微笑んだ。