赤沢神社。
そこは赤沢のお社様と住民から親しまれている比較的大きな神社だ。
そこの夏祭りは神輿が出るほか、そして、ある目玉の名物があった。
やはり地方の祭りとは人のケタが違う…。
提灯が参道を明るく照らしまた、祭りを楽しむ人たちで溢れ返っていた…。
社務所でカオルが手続きをしている。
「…はい。ありがとうございます。遅れてしまいすみません。よろしくお願いします。」
彼女が駆けて出てきた。
「2区画の三番だって。おきぬ、こっちよ。」
椿はおきぬを連れて走って行く。
「あ、下準備してくれてあるんだ。」
椿は笑った。
「おー、つばきちゃん。遅かったじゃないか!待ってたんだぜ!」
隣の焼きそば屋のカズが声をかけてきた。
「あ、久しぶり!どう?調子は?」
「今年もいつも通りだよ。あ、いらっしゃい!…」
椿はカップをテーブルの上に並べはじめた。
「おきぬ、あんたも手伝ってよ。」
「え、あっ。ごめん。」
「…大丈夫?
具合悪かったら言ってね。」
椿は手際よく「氷」とかかれたカップを並べていく。
おきぬも一緒に並べるも、その動きは鈍重だった。
「よし…。準備できたね。おきぬ、準備はいい?」
「え、う、うん。大丈夫だよ。」
おきぬは無理矢理明るく返答した。
椿はにやりと笑う。
「…さぁさ、よってらっしゃい見てらっしゃい!
本場雪女の作るかき氷だよ!
今年もやってまいりました!
皆さん暑い最中に雪女の作る「つめたーい」かき氷なんていかがですか!」
椿は大声でさけぶ。
『今年もやるんだな。』
『すごいんだよな。これ。』
ぞろぞろ人が集まってきた。
「あれ?今年は涼子さんじゃないのかい?」
カズが椿に訊いた。
「あのこ、今年は無理なんだって。まぁ、だから助っ人をよこしました。彼女はおきぬっていうの。」
椿はおきぬの肩をポンと叩いた。
「…おきぬさんか。よろしくな!」
「…………。」
おきぬはうつむいていた。
「さぁ、お待たせしました!雪女の作る本場のかき氷。
今年もやってきましたよ!皆さん、このマジックをしかとごらんあれー!
…おきぬ。あんたの出番よ。…頑張って」
おきぬはうつむいたままだ。
周囲がどよめいた。
「おきぬ。ねえ?…大丈夫?無理なら無理で」
その時、おきぬの心に懐かしい声が響いた。
(おきぬ…。頑張って。)


