「たまにしか会えないんだけどね。彼、四国の有名なお寺の住職さんなんだ。」
「へーっ。なれそめとか聞かせてよ。どうして出会ったの?」

「二年前、新潟に仕事で行ってたとき、その帰り際、インターネットのラジオのゲストで…妖怪特集かなんかで雪女代表であたしが招かれたんだ。覚えてる?」

「もちろん覚えてるよ!
聞いてたもの。」


「それで…岐阜に帰る時にね、声をかけられたの。
そしたら、『まぶしい』とか言われて。
君は立てばしゃくやく座ればボタン歩く姿はユリの花だね!


って彼に言われたのよー!!


ね!わかるでしょ!もう胸キュンって感じ!
ああ、今でも思い出すわ~。」

おきぬの顔がほんのり赤くなる。

「……あ、そうなの。よ、良かったね。。」



「恥ずかしいじゃないのよぉ!もう何言わせるのよぉ!こんなに周りに人乗ってるのにぃ。恥ずかしいじゃないのよお!」


おきぬは椿の背中をバンバン叩いた。





いや、あんた十分目立ってるから(汗)
椿はそんなこと心の中で思った…。



「あ、そうだ!実は熱海に新婚旅行行ったときの写真あるんだ。ね!見たい?ねぇねぇ。見たい?」

「あ、みたいみたい!」

椿のテンションが上がった。

「ふふ…。仕方ないなぁ。」そう言っておきぬは鞄をごそごそあさる。
「ジャーン!見よ!
これがあたしのだんなさまでーす!」


…おきぬの見せた写真。



笑っているおきぬの隣に彼はいた。
マジックで描いた
目・鼻・口。


彼女の旦那はのっぺらぼうなのだ。

「り、凛々しい顔の旦那さまだわね。。。」

「でしょー!彼は多分日本一ハンサムな男性よ!うんうん。」
彼女はそういうと一人頷いた。



「おきぬ、あんたやっぱり少し変わってるわ…」
「え…?」
「あ、いやなんでもない」
椿は苦笑した。