「大丈夫だってばーっ!」


おきぬはわめいた。

「ダメです!支部長絶対間違えます!」
葛西は胸を張って言う。


「汽車位乗れるよー!」

「乗ること位は誰でもできます。でも支部長の場合、行けるかどうかが問題なんです!」


「うー。」



おきぬは葛西をはにかみながら見つめた。



「あー、うー、わー。」



突然訳のわからない叫びをあげると、おきぬはいきなり走り出した。

「ちょ、支部長!待ってくださいよ!」


葛西も走り出す。



商店街を抜け、閑静な住宅街の一角にでる。


おきぬは電信柱の影からソーッと身を乗り出した。
キョロキョロ辺りを見回した。


「…いないわね。よしよし。
…ったく、子供扱いするのも大概にしてほしいよね。
さてと、駅に行くには…えーと、うーんと、うーんと…




えーっとぉ~~。」


狐につままれた気分だった。
ここ、どこだ…。




その時、肩をポンっと叩かれた。


「ひぃー!ゴメンナサイゴメンナサイ!」
おきぬは身を伏せた。



「支部長、ダメですよ。俺から逃げられると思いましたか?」

葛西はおきぬを見つめ、勝ち誇ったようにニヤリと笑った。