祭りを終え、後片付けをしているとテキヤ仲間のとしちゃんが声をかけた。
「おきぬさん、どうすんだい?お疲れさま会、くるのかい?」
彼は右手をお猪口の形にしてあごにクイッと持っていった。
「あー。無理ですぅ。事務所に戻って集計しなきゃいけないからー。ゴメンナサイ!」
「あー、いいよ。いいよ。そうだよなぁ。おきぬさんたちは「仕事」でやってるんだもんな。
まぁ、いいや、来年もまたよろしくな!」
「あ、はい。来年もよろしくお願いします!」
おきぬが笑って返答すると…
「おきぬちゃん迎えが来たぞー!」
そんな声が聞こえた。
彼女は顔をしかめた。
一台の白いセダンが神社の入り口に止まっているのが見えた。
背広を着た一人の男が手をふっていた。