「嫌だ……。」
「……え?」
「嫌だ…。いやだ。やだ。やだ!やだっ!」
おきぬは駄々をこねる子供のように叫んだ。
「いやだ…いやだいやだ!やだよ!やだよそんなの!なんでよ!なんでだよ!!お姉は…お姉たちはなにも悪いことしてないじゃないか!!
なんでこんな目にあわなきゃいけないのよ!
どうして!ねえ、どうしてよ!」
おきぬは泣き叫んだ。
「私、幸せだった。已之吉さんと出会えて。
あの人との思い出は一生の宝物…。おきぬがやらないのなら私は自害するよ。
知ってるでしょ…。
自ら命を絶つものは決して浮かばれることはない。
あなたが私をあやめてくれれば、黄泉の国でみんなと一緒に暮らすことができる。…私、それを願ってるの。」
おしんは何かを思い出すように目を閉じた。
おきぬは涙をためておしんを見つめた。
幼い頃早い時期から親を亡くし、彼女はおしんによって育てられた。
おきぬはやんちゃっ子だった。
悪戯をしては怒ってくれ、そしてまたある時は抱き締めてくれた。
おしんは自慢できる最高の姉だ。
おきぬはトミ、好子、健太郎の亡骸を見つめた…。
泗宝仙は毒薬としての最高峰と言われていた。
それを生き物が少しでも吸い込むと、一気に身体中の酸素が奪われ…たちまち死に至る。
苦しむいとまもなくこときれる…。
安らかな顔をして三人は眠っていた…。


