突如、彼女の顔が一気にひきつった。
「…何これ?」
おきぬは炎の中から歩いてきた。
見るとおきぬの周りには炎が渦となり取り囲んでいた。
彼女と炎が一体化しているようにも見えた‥。
「…お、おまえ。」
サラは唖然と立ち尽くす。
「ふーん。炎と雪って似てるんだね。」
おきぬは感心したように自分を囲んだ炎を見渡すと、サラに向きなおり微笑んだ。
サラもそれに反応するように、ニタリと笑った…。
「そうかいそうかい…。面白いじゃないか…。クケケケ…。」
サラは口を剥き出し笑いながらおきぬの方に歩き出した。
「あたしの炎よ…。あっちよ。汝に苦報を…蹂躙の罪を与えたまえ」
おきぬはそう呟くとゆっくりとサラを指差した。
突如おきぬの周りの炎が勢いを増した。
「なめられたもんだね…。」
サラはおきぬを睨みつける。
「あんたのような小娘に炎を食らわそうとされるなんてさ。よし、いいだろう…。死に急ぐがいいさ!」
サラは立ち止まった。
真っ赤な炎がサラの身を包みこむ。
「炎よ頼んだよ…」
「消えろや!小娘が!」
二人の繰り出した火柱は同時に互いに向かい、炎がぶつかるとそれは火炎流になり渦巻いた。
ズオッ!!!
サラは炎を繰りながら力を込めた。
「飛んでいけ!」
サラが叫ぶと更に太い炎の動線が全身より繰り出し、火炎流と共に太い炎の動線と化した。
そしてそのまま衝撃波はおきぬに突入した。
その時おきぬは微笑み、静かに両手を振り上げた。
…太い炎の渦は天に弾き飛ばされ、放物線の軌跡を描きながらサラに突入した。
「な、な、なんだとぉぉ!」
避ける間もなく火炎の衝撃波がサラに襲いかかった。
「な、なんが!なんが!!うぐぇぇぇ!!」
炎に呑まれサラは絶叫した。
おきぬはサラを哀れみの目でみつめていた。
「あんたに足りなかったのは自分自身の炎に対する愛情よ。
自身の能力を全て手中に収められる…。そう思ったら大きな間違いだわ。」
おきぬは炎に揉まれるサラを睨み付けた…。
「…これで少しはわかったでしょ。
自分自身の炎で少しでも苦しみながら…
他に殺された人達の苦しみを味わいながら…
死んでいくことね…。」
「ぶぎゃーー!あぎゃぎゃぎゃあががが!ががががごぶ∋∈◇●なたおぎゑ*+##*?Å∬∂*# 」
声にならない不気味な叫びが空気を引き裂いた…。
爆炎と共にサラの服はたちまち燃え尽き、皮膚が溶け、そして骨もろとも粉々に砕けちった…。