雪女~おきぬの昔ばなし~




「…………………」



おきぬはうっすらと目を開けた。


頭がボンヤリする。



「な、なにが…」

おきぬは身を起こそうとした。だが、体に力が入らない。

先ほどの甘い香りが鼻についた。


「………………!!!」


彼女は無理に体を起こした。
辺りは真っ暗だったが、目が慣れるにつれ状況が理解できた。
そこは已之吉の屋敷だった。
…おきぬは廊下に倒れていた。


辺りを見回すと、囲炉裏の前に正座をした人が座っていた。


…トミだった。


おきぬはふらつきながらも駆け寄る。


「お…おとみさん…。」

トミの肩を揺さぶった。


………反応がない。



「…おとみさん大丈」

その時、トミの体はおきぬ側に寄りかかってきた。


「…え?」


…トミの体からは生気が感じられなかった。
息もしておらず、目をうっすら開いたまま絶命していた…。