「…全く腹たちますよね!」
背広に身を包んだ新太郎は憤慨していた。
「まぁ、仕方ないよ。
そう意気だったとこで取引はうまくいくもんじゃないし…。終わったものは仕方ないさ。」
新太郎と同じように背広に身を包んでいた已之吉は笑って答えた。
「先輩は腹たたないんですか?あいつ、長くない会社なんか相手にできないとか言っていたんですよ。あんなこと言われたら…。」
「まぁ、相手が悪かったのは否めない事実かもしれないな。」
「社長にどう説明するんですか?今回の取引にかなり機運かけてたみたいですよ。」
「そうだな…」
已之吉は消え入るような声でつぶやき、その表情に影を落とした…。