「気に食わねぇ…。」
ジョンとよばれる金髪の男は煙草を男に向かって吐き捨てると、足でグシャっと踏みあげた。




「あんた、さっきから目障りだねぇ。」
赤髪の女はジョンを睨み付けた。
彼女の名前はサラ。
彼らのグループのリーダーである。

「ジョンはいつも怒ってるよ。」
目のつり上がった、その少年はトム。
黒い髪。黒い目。
一見すると日本人のようにも見える。
だが異様につり上がった目が人間と違うことを如実に示していた。

彼らは日本政府の依頼で
西洋の異国より日本へやってきた。


彼らの名は


「スリービースト」

ヴァンパイア、魔女・その他の西洋妖怪類をほぼ全滅させた、獣人鏃の末裔である。





彼らは同胞を狩りつづけた。裏切り者として…。
その栄光により、西洋の国では彼らはもてはやされていた…。
そう、正義の味方として…。


しかし、やがて人々には飽きがくる。

化け物のいなくなった世界に彼らは必要とされなくなった。
西洋では唯一の危険因子とされ、厄介者扱いされるようになる。
…そんな彼らを引き取る形で日本政府は三人を「妖怪狩りの用心棒」として雇ったのだった。




「なんで俺のようなエリートがてめえら東洋の猿を相手にしなければならねぇんだ。クダラネェ!」
一発のこぶしを彼の顔にぶちまけた。
グシャっと嫌な音がする。
緑色の血にまみれたその男は既に彼になぶり殺されていた。
眼球は飛び出し、鼻の骨は折れてひしゃげ…


彼は倒れる事はない。


殴られる反動で倒れようにも反対からパンチを喰らい、倒れることができないのだ。



「トム。結界は張ったのかい?」


「もちろん張ったよ。こんなとこ他人に見られたら…」
「ったく、なんなんだい。ジョンのやつは…。あれじゃあリンチじゃないか…。仕事が進まないよ。」
サラは溜め息をついた。


「いいじゃないか。見てよあいつのあの顔。ぐちゃぐちゃだよ。面白いよね。」


トムは楽しそうに笑った。


汚い物を見るような目付きでサラはそれを見た。
「もういいだろう、ジョン。とどめさすよ。」

ジョンはサラを睨み付けた。
「けっ。」

その時、なぶりあげられていた物体がジョンに寄りかかってきた。

「きたねーんだよ!」


大きく目を見開きジョンはその物体を蹴り飛ばした。