俺は、その夏姫と表示される名前を見て、また少しだけ頭痛に額を抑えながらも、携帯の通話ボタンを押した。
『ハイ』
既に眠気でも襲ってきていたのか、自分でもビックリする程の低いトーンの声で、俺は電話に出た。
『あ、瞬クン。ゴメン、寝てたかなぁ?
私、ミズキです…』
『いや、起きてた…どうした?』
昨日の今日で俺に何の用があるんだよ…
先ほどの気持ちと、頭痛のせいで、少し心が荒んでる気がする。
『あの、瞬クン…急で悪いんだけど、今晩会えないかな?』
俺のトーンに比べればかなり高い声質で俺の頭を刺激する。
『あぁ…今日はムリ』
『そっか…、
じゃあ、週末は?』
何なんだこの女…
積極的なんてレベルじゃないぞ……
『週末の事は週末にならないと解らない…
…また俺から連絡するよ…』
『……、うん…わかった。じゃあ、連絡待ってるね』
そう言ってミズキは最後に『いきなりゴメンね』、と言い残して電話を切った。
俺は携帯電話を床の上でスライドさせるように遠くに投げやって、
フゥ、と大きな溜め息をついた。
ミズキという女の子は、
純粋…そんな言葉からかけ離れているように思う。
俺の理想にはほど遠い……
俺は勝手なんだろうか…
それともミズキの行動がおかしいのか…
頭の痛みは、俺に答えへと導かせることを拒んだ。
ナツだ…
俺が恋した理想は、
ナツだけ…
俺も大貴と同じように一途な男なんだ…
……


