「同じ空の下で…」


近くのパスタ屋で食事を軽く済ませると、もう一度そのイルミネーションの下をゆっくりと歩く。

私の肩を抱きながら歩く瞬を見上げると大きな瞳に無数のイルミネーションの光が映し出されて、いつか見た水流を映し出す瞬の瞳を思い出した。

「次、どこ行く~?」

そう問う瞬から目線を逸らして一瞬、行きたい所を考えるけど
今敢えてどうしても行きたい所など、すぐには思い着かなかった。

「うーん、瞬は?…私は…特に行きたいトコ、無いよ?」

「…俺が決めていいの?」

「うん、いいよ。おまかせしま~す」

瞬の左腕に包まりながら、また瞬を見上げる。

瞬とだったら、きっと何処にいっても楽しくなる気がしてならなかった。
そんな思考になってしまっていた私は、多分、さっきの映画の魔法にかかって居たのかもしれない────…。

瞬と一緒なら・・・・何処でもいい・・・・───。


映画の話を瞬が振ってきたので、私も同じ様に自分の感想を話しながら、ゆっくりゆっくりその下を歩く。



少し複雑な路地を抜け、イルミネーションとは違った煌めきを放つ通りに差し掛かった。

さっきよりも更に歩く速さがゆっくりになると、瞬は足を止めた。