タケルの手から、長方形のその箱が綺麗に孤を描きながら、瞬の手に落ちる。
「…サンキュ♪」
バッグから財布を出し、その硬貨を一個ずつタケルの手へ器用に弾き飛ばし、お金を渡す姿が面白くて、私はその一連を可笑しく思いながら眺めていた。
「ラスベガスのカジノの光景みたい!」
「ほんと…。息ピッタリだね!」
「さてと…、俺、帰るわ。」
お金を財布にしまい込むと、タケルが口を開いた。
「あ、あたしも…。今日お休みなんだけど、午後一で急に指名入っちゃったんだよね…。」
すかさず、由美も矢継ぎ早に言った。
「…同窓会の件で、最終打ち合わせもあるから…今日は事務所入り浸りだな…」
タケルはため息交じりに言った。
「じゃ、俺も帰ろっと。」
タケルが立ち上がり、同時に瞬も立ち上がると、由美も続けて立ち上がる。
「艶香、ごめんね。ランチでもどうかな~って思ってたけど、また今度ね♪」
「うん。いつでも行けるじゃん。仕事頑張って!」
「…つか、お前ら、さっき食ったのに、また食うの?!」
瞬が驚いた顔で、私たちを見た。
「ランチよりドルチェがメイン♪ねっ♪」
「そうそう♪じゃ、艶香、また連絡するね」
由美お得意の極嬢スマイルを私に向けると、由美は玄関を出た。
3人の後を追うように私も玄関を出る。
