本当に・・・・
なんて言う朝なのだろう。
アパートが見えてくると、瞬は速度を落とし路肩に停車した。
「ありがとう。」
繋いだ手を離そうとするけど、なかなか瞬が離してくれない。
思わず困惑した表情で瞬の目を見つめる。
また一つ、手の甲にキスを落とし、そのまま私の頭を引き寄せおでこに軽く、鳥が餌をついばむようなキスをする…瞬。
そして互いにおでこを寄せ合う。
「・・・・誰かに・・・・見られてるかもよ?」
「気にしない。見たい奴には見せたらいい。…艶香、今日は…ありがとう。」
「瞬こそ、ありがとう。」
「お休み。…良い休日を。」
「うん、瞬、ちゃんと寝てね。」
目を軽く閉じ、柔らかい笑顔で頷く様に答える、瞬。
車が見えなくなるまで見送ると、私もアパートの階段を駆け上がる。
ベッドに大の字になり、ブランケットに包まりながら独り笑顔で目を閉じる。
なんて言う朝なんだろう。
自問自答を繰り返しながら、幸福感に包まれ、私は深い眠りについた。
