「同じ空の下で…」

「ああ、あの人は、結構有名…だと思う。俺のじいちゃんはあの会社のかつての会長と竹馬の友だって聞いた事がある。言わば、親交が深い相手だったと。俺は直接会った事とか関わった事は無いけど…そいつに、好かれてたのか?」

「…うん、まぁ…話せば長いんだけど…。」

私は常務の御遣いで、Takanashi.coに出向いた事から始まり、会食と称したお見合いに同席した事(せざる得なかった事)やら、今度のプロジェクトで高梨と関わりを持つ事やらを…一通り、簡潔に話した。

勿論の事、2人で食事に行き、その後、うっかり酔っぱらってキスをしただとか、家まで送って貰っただとかは…話せなかった…というか、簡単に話せる程の器量は持ち合わせてなかった。
揺れてしまっていた心なんてもってのほかで、話せる訳ない。多分、一生話せないと思う…。
そこに関しては…私は本当にずるい人間だと思った。卑怯だなと、自分を責めてみる…。

「…ふ~ん。そうだったのか。」

「そうだったの…。今まで…話せなくてごめん。」

妙に冷静かつ、顔色が一切変わらない瞬に、安心感よりも多少の恐怖感すら感じた。

妙に落ち着いてるのは…怒りを抑えての事なのか…全く表情から彼の感情が読み取れない。

その私の動揺をよそに、瞬は相変わらずのトーンで話し始めた。