瞬のお父さんは少し考えるような表情をして、また私の顔を見て話した。
「瞬は、私にこれほどまでに我儘を言った事はない。それほどまでに、どうやら、貴女を妻として迎えたいらしい。貴女の気持ちはどうなんだろう…本当に瞬でいいのか?迷いはないのか?これから、またすぐに離れて暮らさなければならない事に抵抗はないのだろうか?」
「…はい。私の気持には、まったく揺らぐ要素はありません。嘘偽りなく瞬を…大切な人として、これからも自分の出来る限り支えて行こうと思います。」
「…そうか。その意志を確認出来た事で私からの異言は一切無い。…どうか、これからも瞬を支えて頂きたい。」
「…は、はいっ。ふ、ふつつか者ですが…よ…、宜しくお願いしますっ!」
「いやいや、こちらこそ、宜しくお願いします。何か困った事があれば、何でも言うといい。」
「親父、ありがとうございます。感謝…します…。」
「瞬、泣かせるような事は絶対にするな。いいな?」
「分かってる。」
「…では、また私は会社に戻る…。私の気が変わらないうちに、早いとこ婚姻届を持ってきなさい。いつでも署名しよう。…では、申し訳ない、艶香さん、私は此処で失礼する。」
「本当に…ありがとうございます…。」
私は、立ち上がって、瞬のお父さんに深くお辞儀をした。
「…あ、頭を上げなさいっ!」
瞬のお父さんは照れくさそうに言うと、その場からいそいそと居なくなった。
