「こ・・この度は…」
「そう、堅くならずに…。さぁ、上がって上がって?」
「あ…はい。お、お邪魔します…。」
軽く頭を下げて、瞬のお母さんの言われるまま、ちょっと縮こまる様にして、案内されながらリビングへと歩いた。
「親父、この前話した人です。」
「は、初めまして。あの…英、艶香です。」
瞬のお父さんは、大きくてちょっと強面な印象だけど、ジェントルマンな雰囲気を醸し出していて、CEOと言う肩書そのもののイメージ通りの…貫録のある風貌の人だった。
「お初にお目にかかります。瞬の父です。貴女の事は、瞬から聞いてます。まずは…掛けて下さい。」
「は…はい。」
不器用ながらにも、何処か優しさを感じさせるお父さんの言葉を素直に聞くと、瞬の横に座った。
「俺が言いたいのは、先日話した通り。ここに居る彼女と入籍します。艶香のお母さんにもその事は承諾して貰った。あとは、親父からの許可を貰うだけです。」
「…先日も言った通りだ。あれ以来、全く気持ちが変わって居ない。」
「じゃあ、入籍していい…って事でいいのか?」
「…艶香さん・・と言ったね?」
「…は、はいっ!」
「我々の事情で大変申し訳ないのだが、すぐに式を挙げるなどは出来ない事は、瞬からも聞いていると思う。だが、特例と言えばいいのか…瞬から何とも今までに言われたことのないようなだな…うむ…。」
