「…こんにちは。どうぞ、中に入って?」
母は、変わらない顔で、瞬の顔を見て、リビングに彼を通した。
「おじゃまします。」
瞬が上がるのを確認して、続いて私も家に上がる。
「おじゃまします。」
リビングは、この上なく静まり返っていて、母がカチャカチャとソーサーを準備する音だけが響いている。
「楽に、してください。」
「…あ、ママ。これ、お土産。」
静けさに耐えかねて、私は母の隣に行き、持ってきたケーキを手渡した。
「あら。ありがとう。ご馳走様です、岡崎さん。」
そう言う母に、瞬は照れくさそうに笑った。
ケーキを取り分けて、ストロベリーティを準備した母がやっとの事で座り、瞬と雑談している最中、私は一人身勝手に冷蔵庫を開けてミルクを自分のカップに注ぎ、また自分の場所に(瞬の隣に)座った。
また、空間が静まり返って、落ち着く様子もなく、交互に2人の顔を見ながら、カップに口を付ける。
「…すいません。今日は、お話がありましてここに来ました。」
緊張感あふれる雰囲気の中、口火を切ったのは瞬だった。
母は、静かに微笑みを浮かべながら瞬の顔を見た。
