「…うそだぁ。絶対何か考えてただろう?…何一人でニヤニヤしてんの?」
「…言わないよ。」
「言えよ。」
「嫌。」
そうきっぱり答えると、瞬は長い脚を絡めて来る。
「…言わせる。」
悪戯に目を輝かせたかと思うと、私の目をジッと見た。
その瞳は、何かを企む時の瞬の瞳そのもので、悟った私は瞬の唇に掌を当てた。
「…言わないよ。…ほら、今日は忙しいんだよね?こんな事してじゃれ合ってていいのかな…?」
「…あ。そうだったな。今日は俺、バシッと決めないと。・・・・ヤバい、急に緊張してきた。」
そういうと、自然に絡んでいた足の力が緩み、私はすり抜けるように瞬から離れて、立ち上がった。
「…朝ごはん、作るね。」
朝食を済ませ、少し改まったワンピースに、ストールを羽織り、髪を夜会巻にして、丁寧に化粧をする。
…何かこの格好、見覚えがあるなぁと化粧をしながら思う。よくよく思い出してみれば、そう。
高梨との見合いの時のコーディネートに似て居て、顔が一瞬固まった。
ま、いいかな…。
わざわざその為に洋服を買いに行く時間すら、今日は勿体ない位だ。
予め、改まった服のバリエーションを増やしておかなければいけないな…と反省しながら、また化粧を再開した。
