「…頑張れよ、艶香。応援する。」
「…でも、私、瞬と行きたいのにっ!」
「大丈夫。俺と艶香は、大丈夫。お互いに、頑張ろう。」
そう、宥めるように、私を腕に抱きとめ、きつくきつく抱き締めてくれる。
「…瞬…。一緒に…いたいよぉ…」
「俺も。居たいよ?…だから、さ。こっからは、俺の話。大事な大事な話ね?」
瞬に抱きしめられながら、私は声を出さずに、コクコクと頷いた。
「まず…艶香の親に、逢いに行く。…そして、艶香の親が承諾してくれたら、艶香に俺の両親と会ってもらう。…そしてその後、婚姻届を出して来る…。どう?名案じゃね?」
「…え…?」
「その後、艶香は岡崎艶香になる。これを、俺が今日本に居る間にやってしまおうと…思うんだけど…。」
「・・・・え…?」
「実は、俺、昨日親父と話をしたんだ。兄貴が帰ってきて、真剣に今後の事を話した。…経営に関する事は、やっぱり兄貴にはかなわないし、今後の事…、爺ちゃんの地位には親父がなって、親父の地位には…兄貴。俺は、まずは、今の事を…今始まった自分のやるべき事…やり遂げたい事を、成し遂げたいと思ってるんだ。勿論、艶香と一緒に行く事、凄く楽しみにしてたけど…。今日の告白を聞いて、艶香の成長ぶりも楽しみだと素直に思えたし…好きだとか大事だとか思ってる依然に、今の俺には、生活能力が欠けてる。多少なりとも貯金はあるけど…底が付くのは、時間の問題だし。」
