「美味しい?」
口元にスプーンを運びながら、瞬は私に問いかけた。
「とっても、美味しい。」
素直に言う私に、瞬は優しく微笑んだ。
「食べ物がおいしく感じるなら、健康な証拠だな。」
「どうして、こんな素敵なお店を知ってるの?」
「やっと、俺に質問してきたな?」
こりゃまた、嬉しそうな顔で瞬は私をみた。
「姉貴がバイトしてる店だよ。今日は、居ないみたいだけど。」
セットでついてきたスープ豪快に飲み干すと、瞬はキョロキョロと周りを見てお姉さんの姿を探していた。
食事を済ませ、お財布を出しお金を出そうとすると、瞬は私の目の前に自分の掌を見せ、
「いらない。俺が払うから、先に上で待ってて。」
といい、ヘルメット2つを渡し、会計を済ませにいった。
何だか・・・・瞬て人は・・・・
想像していた人とは、どうやら違うらしい・・・・。
会計を済ませ、階段を駆け上がってきた瞬に、丁寧にお礼を言うと、
「いくぞ」の掛け声と共に、また、バイクに跨り、事務所に向かった。
