「同じ空の下で…」

わざとらしくニンマリしながら瞬の顔を見ると、さっきまで落ち着きなさそうにしていた瞬が固まっていた。



「マジですか…?」


「はい、マジです。」


「…………」


「だから、気にしなくていーから。あ、でも、このストラップは可愛いから貰うね。どうもありがとです。」


一気に一人でしゃべり続けると、丁寧にバックの中に子犬をしまった。

もう、その会話はしたくないのが正直なとこ。

別れを決めてから、まだ日も浅いし、大体、瞬に話す事ではない気がして、

とにかく話題を変えようと、自分の中で模索していた。



「………あ、いえ。どういたしまして…。」



そう、瞬が言うか言わないかとほぼ同時に、何ともいいタイミングでオムライスが運ばれてきた。


「お待たせいたしました。」


固まったままの瞬をよそに、私はいただきま~すと言うと、オムライスを食べ始める。

続いて瞬も同じように食べ始める。



昨日…、いや、亮太と住んでいた時から思っていたけど、

独りでごはんを食べてると、味も何もよく分からなくて、ただお腹を満たすだけに過ぎないなぁと、食べ物を口に運んでいたけど、

今日、この空間で食べるオムライスは無性に美味しく感じて、仕方なかった。

特に変わった味なわけではない。
ごくシンプルで、素朴な味だというのに、やたらおいしく感じた。