慌てる私を全く気にする素振りを見せず、まだテーブルに頬をつけたまま、瞬は呟くように私に問う。
「艶香って普通のOLさん?」
「うん。」
「事務員さんとか?それとも…営業とか行く感じの?」
「デスクワークだけど…肩書きは秘書だよ。」
ほんのりレモンの味がする水を飲みながら、私はタバコに火をつけた。
「秘書?へぇ~。確かに、バリバリ仕事を取る雰囲気ではないな。」
続けて瞬も、たばこを取出し、火をつけた。
相変わらず私を見る瞬の目には水流がうつり、無駄にキラキラしてる。
「じゃあ、一日中誰かの世話してるんだ?」
「そだね。確かに、常に張り付いてるかも。」
「なんか…介護みたいだな。」
常務の顔がよぎって、思わず、口元が綻ぶ。
「あ、そうだ、忘れてたっ!」
突然、瞬がポケットを探りだし、小さな包みを取り出すと、私に差し出した。
「あげる、この前のお詫び。」
「…お詫び?」
「自分のと間違って、艶香の電話に出てしまったお詫びだよ。開けてみて?」
「………要らないよ…。」
急に言われても・・・・貰う理由ない。
