「…相変わらずで、何より♪…昨日、どうした?何回か電話したんだけど…」
「あ、ああ。ゴメン、仕事で…」
そこまで言いかけた所で、私は一気に後ろめたい気持ちに陥る。
そして、昨日の…雷雨での高梨との事だったりを思い出して、瞬の顔を思い浮かべていた筈なのに、いきなり高梨の顔が蘇ってきて、頭をブンブンと横に振った。
「ごめんね、電源切らなきゃいけなくって…。常務の…会食のお供だった…」
…と、瞬に本当の事を言えずに、目を一人で泳がせていた。
「そっか。アレだな、電話一本で繫がってると、何か不安要素ってヤツが増えるんだな。何かあったかとか、ちょっと一人でパニクった…。」
「詳しく…話さないで居てごめんね。…タケルから連絡来たよ。おじいちゃん…の事…」
やっとの事で通常の呼吸に戻ると、スマホの充電器を抜き、冷蔵庫付近まで歩き、飲み物を注ぎながら、瞬の声に耳を澄ませた。
「…そう、そうなんだ。そう言う事で、俺、一旦帰国する事にしたんだ。」
「…おじいちゃんは、容態は…大丈夫なの…?」
「…元々心臓病を患っていたから・・・・まぁ、安心は出来ないけど…面会謝絶とかではないらしいから…落ち着いてるとは思うけど…。」
「…うん、そっか。」
「…てなわけで、来月日本に帰る。容態次第で滞在期間は変わると思うけど…不謹慎ながらに、艶香、会える?…会ってくれる?」
何、その…″会ってくれる?″って・・・・?
