「同じ空の下で…」


駅に着いて、更に速足で階段を駆け上り、改札も抜けて家までの道を急ぐ。

最初は歩いていたけど、欲求に身を任せながら、頭の中は瞬の事で一杯になりながら居ると次第に走り出していた。


アパートの階段も、タタタッっと何かにせかされるようにして上がると、急いで部屋に入った。

そして、息を切らせながら、スマホを充電器に差し込み、そのまま、バッグを置くのも忘れて、瞬の名前を電話帳から探し当てて、すぐに発信した。

1コール…

2コール…

無機質な音が右耳に響く。

3コール目…

「つやか~待ってたぞ~」

「瞬・・・・!お…またせ…し、ました…。」


相変わらず息が途切れる。

呼吸を整えながら、私は少しだけ深呼吸をする。

「おい、走ってきたの?今、どこ?」

「…駅から…走って…みた…はぁ…はぁ…」

電話の向こうで高笑いする瞬の声が聞こえる。

その声で、安心感を覚える。

やっぱり、電話の向こうの声は、まぎれもなく瞬なんだなぁって、安心感を覚えてしまう。

「何でさぁ、そんなにいつも一生懸命なのさ?」

「…どうゆう…意味?」

「何もさ、歩きながら電話でもいいんじゃね?」

「あ、確かに…。」


それもそうだ…。

何で、瞬に電話するのに、こんなにも息を切らせて走って家まできたのだろう。

自分で自分の行動が可笑しくなって、私は苦笑した。