大通りを抜けて、駅の西口までの距離を他愛のない話で盛り上がりながら、タケルと歩く。
左側に居るのが瞬だったらなぁ…と、ふと思ったりもする。
だけど、紛れもなくそこに居るのは瞬ではなくタケルだ。
身長も違う。話し方も違う。声も違う。顔も違う…。
だけど、心を許して何でも話してしまう、不思議な存在のタケルに、女友達にも話さないような事を話してしまっていた。
例えば、昨日の今日である…高梨との見合いの話だったり…。
自分のかっこ悪い部分の瞬への思いだったり…。
その思いを吐き出してしまった所で、タケルは今までと変わりなく自分と接してくれている事に、恋愛感情とかとは違う、好意的な感情を持っていた。
タケルの存在は…きっといつの頃からか…親友のような存在になってしまっているような気がした。
異性の親友────…タケルはそれに値する。
ふと、青々とした空を見上げて、私は足を止めた。
雲ひとつない青い空を見ると、自分の奥底にある何とも言えない感情が、胸の鼓動の速さと共に、自分を取り巻き始める。
そして思い出す…瞬の事───。
「どうした、艶香?」
「…タケル、ここでいいや。今日は、ご馳走様でした。」
「…ん?あ、まあ…どういたしまして。…また行こうな?」
「うん。また行こうね。今日はありがとう。」
「じゃ、またな。」
「うん、気を付けて。」
