「同じ空の下で…」


カキツバタが咲き誇るその庭園の池に、波紋が一つ広がった。

時間が経つにつれ、波紋が増えて行き、空からは雨がゆっくりと少しずつ降り始めたのが分かった。

「雨ですね…。」

「…戻ろう。」

「はい。」

ゆっくりと歩く余裕すら持てず、私たちはさっきの部屋を目指して少し足早に部屋へと戻った。

部屋に戻ると和服の女性が、タオルを持ち私たちを待っていた。

「降ってきましたね。こちら、よかったらお使い下さい。それと…そろそろお時間です。」


「ありがとう。そうか、もう時間ですか。艶香さん。」

「はい。」


タオルを渡され、少しだけ腕についた水滴を拭きながら、高梨の顔を見上げた。



「車を手配するので、お家までお送りします。もうリミットが来ました。」

「そうですか。あ、でも私、傘あるので自分で帰れます。大丈夫です」

「いいえ、そんな事をしたら僕が父に怒られます。」

そのやり取りの間に、雨はどんどん降り始めて、更にはどしゃぶりに近いような雨に変わり、部屋からその様子をしばらく見ていた。

相変わらず、雷鳴が響いている。

空を見上げながら、落ちてくる雨粒を見つめていた。