「同じ空の下で…」


美しい日本庭園を歩きながら、色々な話をした。

それは主にお互いの話で、日常会話にしては少し堅苦しい感じもあったが、私と高梨は徐々に、ゆっくりとお互いの話を、ごく自然に語りあった。

庭園に敷かれている白い玉砂利を踏む音が、鳴き砂の音に似ている…とか、どうでもいい話から始まって、その会話の中でお互いにどこか共感したり、共鳴したりしながら、理解していった。


さっきから、遠くから聞こえる雷鳴が轟いた時の事。

空を見上げて、高梨が言った。

「雨の日が、嫌いなんだ。特に、こう雷が轟く雨の日っていうのは…嫌な記憶が蘇り…途端に気分が落ち込んでゆく…。」


その横顔を見れば、どこか物憂げで苦しそうで更には、寂しさすらも感じる表情だった。


「私は、結構好きですよ。空に閃光が走る瞬間とか。小学生の頃、よく窓に張り付いて友達と何度稲妻を見れたかなんて回数を競ったりして…。」

「…へぇ~。無邪気ですね。きっと僕もその頃は、そんな事をしてたような気がします。」

高梨は、何かの記憶を思い出すような表情で力なく笑った。

「嫌な記憶って…?」

「…ごめん。まだ話せる程の余裕がない。」

「ご…ごめんなさい。」

「いいや、気にしない。」

見上げていた顔は途端に俯き加減になり、前を見据えると、高梨はまた、ゆっくりと歩を進めた。

相変わらず適度に距離を保ちながら、私もその後ろをゆっくりと歩いた。