「…こ、困ります…。大体、貴方とは…准一さんとは…身分が違い過ぎます。」
まるで魔術とか催眠術とかにかかってしまったように、高梨准一から視線を逸らせずに居ながらにして、彼の問いに淡々と答える。
「身分?またそうゆう事をおっしゃるのですか…。では、貴方に相応しい身分にでも変貌しましょう!」
「いえ、そうではなく!…やっぱり私、彼が好きなんです。せっかくのご好意に…応える事が…できません…。」
「それは、重々承知の上で、告白させていただきました。…遠距離恋愛中なんて…なんともドラマチックです。だけど…僕にもチャンスがあるような気がした。なぜなら…」
「…?」
「僕が貴方を恋人とするなら、遠距離恋愛などという手段は選びません。離れる事など…選びませんよ。」
そう話すと、やっと高梨准一は私から目線を逸らし、すっかり水滴で滴るウーロン茶のグラスを持つとそのグラスの中を飲み干した。
高梨准一が言うその言葉が、グサグサと胸に突き刺さる。
そうだ…
どうして私たちは…離れ離れになる事を選んだのだろう…かと。
「僕なら、絶対に寂しい思いをさせたくない。そして自分も寂しさを感じるような事を敢えて選ばない。…もう、その彼とは長い付き合いなのですか?」
「…いい…え。」
「そ。なら、尚更、離れませんよ。」
